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東京高等裁判所 平成9年(行ケ)314号 判決 1998年5月28日

京都府京都市山科区西野山射庭ノ上町294番地の1

原告

株式会社王将フードサービス

代表者代表取締役

加藤潔

訴訟代理人弁理士

高木義輝

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官 荒井寿光

指定代理人

井岡賢一

同小池隆

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第1  当事者の求めた裁判

1  原告

「特許庁が平成5年審判第9443号事件について平成9年10月17日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決

2  被告

主文と同旨の判決

第2  請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告は、平成3年1月11日、別紙審決書写し(以下「審決書」という。)の別紙(1)に表示したとおりの構成からなる商標(以下「本願商標」という。)について、指定商品を商標法施行令(平成3年政令第299号による改正前のもの)別表第32類「食肉 卵 食用水産物 野菜 果実 加工食料品(他の類に属するものを除く。)」(後に、指定商品を「野菜(砂糖きび てんさい 茶の葉 コーヒー豆を除く。)砂糖きび てんさい 茶の葉 コーヒー豆 果実 加工穀物 加工野菜および加工果実 とうふ 凍りどうふ あぶらあげ こんにゃく なっとう 豆乳 こうじ 酵母 イーストパウダー 麦芽」と補正)として商標登録出願(平成3年商標登録願第1776号)をしたが、平成5年3月29日拒絶査定を受けたので、査定不服の審判を請求した。特許庁は、この請求を平成5年審判第9443号事件として審理した結果、平成9年10月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年11月6日原告に送達された。

2  審決の理由

審決書記載のとおりであるが、要するに、本願商標と引用商標とは、本願商標中の「OHSHO」、「王将」の文字及び引用商標中の「王将」の文字から「主将にあたる将棋の駒」の観念を共通にし、「オーショー」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標は商標法4条1項11号に該当し、登録することができないと判断した。

3  審決を取り消すべき事由

審決の理由1(本願商標)、2(引用商標)は認め、同3(当審の判断)、4(むすび)は争う。

審決は、本願商標から生ずる称呼及び観念、引用商標から生ずる称呼及び観念の認定を誤った結果、本願商標は商標法4条1項11号に当たると誤って判断したものであるから、違法なものとして取り消されるべきである。

(取消事由)

(1) 称呼について

<1> 審決は、「一段目の文字部分について検討するに、近時商業広告等において、商号や商標の全部又は一部を図案化して、会社のイメージアップを図ったり、自己の取り扱いに係る商品などの宣伝効果を高めるといった方法が普通に採られている取引社会の実情よりすれば、一段目中央の2つの黒塗りの縦長平行四辺形は、「S」の欧文字を図案化したものと容易に理解し得るものである。」(審決書4頁12行ないし19行)と認定するが、誤りである。

一般需要者は、本願商標の一段目中央の2つの黒塗りの縦長平行四辺形(以下「本件図形」という。)を、欧文字を図案化した「S」と判断することはない。被告提出のロゴタイプ事典(乙第1号証)にも、本件図形が「S」を図案化したものであることを示すものは存在しない。したがって、本願商標の一段目から「オーショー」の称呼は生じない。

本願商標の二段目は、「OHSHO FOOD SERVICE CORP.」で、「オーショーフードサービスコープ」の称呼が生ずる。

<2> 審決は、「三段目の文字部分について検討するに、「餃子の」の文字部分は、「王将」の文字部分より小さく表示されているばかりでなく、「餃子の」の文字は、指定商品との関係よりすれば、「餃子」「餃子の皮」を表したものと認識され、自他商品識別力を有さないか極めて弱い部分といえるから、「王将」の文字部分は、独立して自他商品識別機能を果たし得るものというべきである。」(審決書5頁3行ないし10行)と認定するが、誤りである。

本願商標の三段目は、「餃子の」と「王将」が一体不可分に表された「餃子の王将」であり、これからは「オーショー」ではなく、「ギョウザノオーショー」の称呼が生ずるものである。

また、「餃子の王将」は、使用された結果、需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものである(甲第10号証、乙第4号証)。

<3> 審決は、「引用商標は、・・・将棋の駒の図形内に「王将」の文字を顕著に表してなるものであるから、これより「オーショー」の称呼を生ずる。」(審決書5頁16行ないし19行)と認定するが、誤りである。

引用商標は、将棋の駒が大きく顕著に表されているから、将棋の駒の図形と文字「王将」とが一体となったものであり、「ショウギノコマノオーショー」との称呼が生ずる。

(2) 観念について

審決は、「観念について検討するに、本願商標中の「OHSHO」、「王将」の文字及び引用商標中の「王将」の文字は、「主将にあたる将棋の駒」を指称する語として広く一般に知られていることから、これらの文字からは、「主将にあたる将棋の駒」の観念を生ずる。」(審決書6頁3行ないし8行)と認定するが、誤りである。

「王将」の文字が、「主将にあたる将棋の駒」を意味する語として広く一般に知られているものではない。

第3  請求の原因に対する認否及び反論

1  認否

請求の原因1、2は認め、同3は争う。審決の認定、判断は正当であり、原告主張の誤りはない。

2  反論

(1)  称呼の点について

<1>(a) 本願商標の一段目は、「OH」と「HO」の各欧文字の間に、右に傾斜した黒塗りの縦長平行四辺形を2つ、左側の平行四辺形の右下角と右側の平行四辺形の左上角とが接するように描いてなるものであり、近時商業広告等において、商号や商標の全部又は一部を図案化して、会社のイメージアップを図ったり、自己の取扱いに係る商品等の宣伝効果を高めるといった方法が普通に採られている取引社会の実情よりすれば(乙第1号証)、本件図形は、「S」の欧文字を図案化したものと容易に理解し得るものである。

(b) また、本願商標の二段目は、黒塗りの横長長方形の右側に「OHSHO FOOD SERVICE CORP.」の欧文字を書してなるものであるところ、該文字中「OHSHO」と「FOOD SERVICE CORP.」との間に黒塗りの平行四辺形が描かれているものであるから、外観上「OHSHO」の文字が、「FOOD SERVICE CORP.」の文字とは別個に看者の注意を惹くものである。そして、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の二段目の「OHSHO」の文字部分より、本願商標の一段目の本件図形は欧文字の「S」を図案化したものであると容易に連想、想起するものである。

さらに、本願商標の三段目は、後記<2>のとおり、「王将」の文字が単独で看者の注意を惹くものであって、さらに、この「王将」の部分を欧文字表記すると「OHSHO」となることから、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の三段目の「王将」の文字部分より、本願商標一段目の本件図形は欧文字の「S」を図案化したものであると容易に連想、想起するものである。

(c) 以上によれば、本願商標の一段目は図案化された「OHSHO」の欧文字を書したものと認められ、その構成文字に相応して「オーショー」の称呼を生ずるものである。

(d) なお、原告は、原告の会社案内(甲第10号証)の中で、本願商標と同一の構成からなる商標について、「傾斜したロゴタイプは、つねに飛躍を目指す未来へのスピリットパワーを表し、中央の拡大された「S」はその象徴です。」と述べており(乙第5号証19頁左上)、原告自身が、本願商標の一段目の本件図形は欧文字の「S」を図案化したものであることを認めているのである。

<2>(a) 本願商標の三段目は、黒塗りの横長長方形内に白抜きの「餃子の」文字及び白抜きの「王将」の文字を書してなるものであるところ、「王将」の文字は「餃子の」文字に比較して縦横とも約2倍の大きさで表示されているため、外観上「餃子の」の文字と「王将」の文字とに分断して認識し得るものである。

(b)また、食品業界においては、商号や店名の前に自己の取り扱っている商品の商品名を並べて広告を行う商慣行や、前段に自己の取り扱っている商品の商品名を附した商号や店名の例が多数存在している。かかる実情を考慮すると、指定商品との関係よりすれば、本願商標の三段目の文字部分「餃子の」の文字に接する取引者、需要者は、該文字部分を「餃子を扱っている店」であることを表示したものと認識するとみるのが自然であり、「餃子の」の文字は、自他商品識別力を有さないか極めて弱い部分といえるから、「王将」の文字部分が独立して自他商品識別機能を果たし得るものというべきである。

(c) さらに、「ギョーザノオーショー」の称呼は、8音からなり、冗長であるので、簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては、「王将」の文字に相応して単に「オーショー」と簡潔に略称、称呼される場合も少なくないものというべきである。

(d) 以上によれば、本願商標の三段目からは、「王将」の文字部分に相応して「オーショー」の称呼をも生ずるというべきである。

(e) 原告は、「餃子の王将」は使用された結果需要者が原告の業務に係る商標であることを認識することができるものである旨主張し、前記甲第10号証を提出するが、この会社案内1つをもって、本願商標が常に「餃子の王将」としてのみ需要者間において認識されているとは認められない。かえって、同号証によれば、店の看板に単に「王将」の文字のみを使用している例も見受けられるし、「餃子の王将」としての使用の場合も「餃子の」の文字に比べて「王将」の文字を大書してなるものである。これに加えて、原告は、同号証において、自らを単に「王将」と称していることが多い。このように、原告自身、「餃子の王将」とともに、単に「王将」としても需要者に強くアピールしているものである。

<3> 引用商標が「王将」の図形であることは明らかであるから、引用商標からは、単に「オーショー」の称呼が生ずるものである。

(2)  観念の点について

本願商標中の「OHSHO」、「王将」の文字及び引用商標中の「王将」の文字は、「主将にあたる将棋の駒」を意味する語として広く一般に知られていることから、これらの文字からは、「主将にあたる将棋の駒」の観念を生ずるものである。

第4  証拠関係

本件記録中の書証目録記載のとおりであり、書証の成立(乙第5号証については、原本の存在も)は、いずれも当事者間に争いがない。

理由

1  請求の原因1(特許庁における手続の経緯)及び同2(審決の理由)は、当事者間に争いがない。

2  そこで、原告主張の取消事由の当否について検討する。

(1)<1>(a) 本願商標の構成は、前記のとおり、審決書別紙(1)に表示のとおりである。

本願商標の一段目は、3列の文字列の中で最も大きく書されているものであるところ、左側の「OH」と右側の「HO」がアルファベットの大文字である「OH」と「HO」と認識されることは明らかであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、これらに挟まれた中央の本件図形もアルファベットの大文字と認識し、かつ、本件図形の形態からすると、本件図形をアルファベットの大文字中の「S」を拡大・変形したものと認識する場合が多いと認められる。現に、原告の会社案内(甲第10号証)には、本願商標と同一の構成からなる商標を掲載し、これにっき「傾斜したロゴタイプは、つねに飛躍を目指す未来へのスピリットパワーを表し、中央の拡大された「S」はその象徴です。」と記載されている。そうすると、本願商標の一段目は、二段目、三段目の構成を参酌するまでもなく、「OHSHO」と認識されるものと認められる。

(b) さらに、本願商標の構成によれば、本願商標の二段目には、左側の小さな横長黒塗り長方形と本件図形の下端との間に「OHSHO」と記載されていること、及び本願商標の三段目に「餃子の王将」と記載され、右側の「王将」が左側の「餃子の」より縦横とも約2倍の大きさに記載されていることが認められ、これらの事実によれば、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の二段目及び三段目の記載も併せて認識することにより、本願商標の一段目を「OHSHO」と認識するものと認められる。

(c) なお、甲第2ないし第5号証によれば、原告が出願し登録を受けた二つの商標は、いずれも「OH」と「HO」の各文字の間に図形があるものであるが、これらの商標は、本願商標の二段目及び三段目の構成を欠くものであり、それぞれの中央の図形も本願商標中の本件図形とは異なる形態を有するものであることが認められるから、甲第2及び第4号証に記載の商標が登録されたことをもって、本願商標の一段目が「OHSHO」と認識されないと解することはできない。

(d) 本願商標の一段目の「OHSHO」からは、「オーショー」の称呼及び「主将にあたる将棋の駒」との観念が生ずると認められる。

(e) 上記認定に反する原告の主張は採用することができない。

<2>(a) また、本願商標の構成によれば、本願商標の三段目は、黒塗りの横長長方形内に白抜きの「餃子の」文字及び白抜きの「王将」の文字を書してなるものであるが、「王将」の文字は、一段目の文字ほど大きくはないが、本願商標に接する取引者、需要者に十分認識される大きさで記載されていることが認められる。そして、「王将」の文字は、「餃子の」文字に比較して縦横とも約2倍の大きさで表示されており、しかも、「餃子の」の文字は、取引者、需要者によって「餃子を扱っている店」であることを表示したものと認識されがちな部分であると認められるから、本願商標に接する取引者、需要者は三段目を単に「王将」と記憶し、「王将」によって他の製品との識別を行うこともあると認められる。

(b) 原告は、「餃子の王将」は、使用された結果、需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるものであると主張するが、前記甲第10号証によれば、原告自身、原告の会社案内である同号証において、自らを「王将」と称し、「王将」との看板を出した店舗のイメージ図を登載していることが認められるから、甲第10号証から原告の上記主張を認めることはできず、他にこの点を認めるに足りる証拠はない。

(c) そして、本願商標の三段目の「王将」からは、「オーショー」の称呼及び「主将にあたる将棋の駒」との観念が生ずると認められる。

(d) 上記認定に反する原告の主張は採用できない。

(2) 引用商標の構成は、前記のとおり、審決書別紙(2)に表示のとおりであり、これより「オーショー」の称呼及び「主将にあたる将棋の駒」の観念が生ずると認められる。

これに反する原告の主張は到底採用できない。

(3) 以上に認定したところによれば、本願商標と引用商標とは、「主将にあたる将棋の駒」の観念を共通にし、称呼が類似する類似の商標であると認められ、さらに、前記説示の本願商標及び引用商標の各指定商品によれば、両商標の指定商品も同一又は類似のものと認められる。

したがって、本願商標は商標法4条1項11号に該当し、登録することができないとした審決の判断に誤りはない。

3  よって、原告の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する(口頭弁論終結の日 平成10年4月14日)。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 濵崎浩一 裁判官 市川正巳)

平成5年審判第9443号

審決

京都市山科区西野山射庭ノ上町294番地の1

請求人 株式会社 王将フードサービス

大阪府大阪市西区江戸堀1丁目23番26号

代理人弁理士 高木義輝

平成3年商標登録願第1776号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

1. 本願商標

本願商標は、別紙に示したとおりの構成よりなり、第32類「食肉 卵 食用水産物 野菜 果実 加工食料品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品として、平成3年1月11日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成4年9月25日付け手続補正書により「野菜(砂糖きび てんさい 茶の葉 コーヒー豆を除く。)砂糖きび てんさい 茶の葉 コーヒー豆 果実 加工穀物 加工野菜および加工果実 とうふ 凍りどうふ あぶらあげ こんにゃく なっとう 豆乳 こうじ 酵母 イーストパウダー 麦芽」と補正されたものである。

2. 引用商標

本願商標の拒絶の理由に引用された登録第53404号商標(以下、「引用商標」という)は別紙のとおりの構成よりなり、明治45年6月1日に登録出願、同年6月24日に第47類「穀菜類、種子、果物、穀粉、澱粉及び其の製品」を指定商品として設定の登録がされ、その後、昭和7年6月1日、同27年3月15日、同47年12月20日、同57年6月25日、平成4年12月24日の5回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品中「乾燥野菜、乾燥果実及びその類似商品」については、その登録を取り消す旨の審決が昭和62年11月5日になされ、同年12月25日に確定し、その抹消の登録が昭和63年2月17日になされているものである。

3. 当審の判断

そこで、本願商標と引用商標の類否について判断する。

まず、称呼について判断するに、本願商標は別紙のとおり、一段目は、「OH」と「HO」の各欧文字の間に、右に傾斜した黒塗りの縦長平行四辺形を2つ、左側の平行四辺形の右下角と右側の平行四辺形の左上角とが触するように描き、二段目は、黒塗りの横長長方形の右側に「OHSHO FOOD SERVICE CORP.」の欧文字を書してなり、三段目は、黒抜きの横長長方形内に白抜きの「餃子の」の文字及びその文字の2倍程度の大きさの白抜きの「王将」の文字を一連に書してなるものである。

そして、本願商標の一段目、二段目、三段目は、それぞれ、文字の大きさ、文字の態様等を異にしているとともに、本願商標は、全体として特定の語義をもって親しまれた成語を表したものとはみられないから、それぞれの段が独立して自他商品識別標識としての機能を果たしていると解するのが相当である。

そこで、一段目の文字部分について検討するに、近時商業広告等において、商号や商標の全部又は一部を図案化して、会社のイメージアップを図ったり、自己の取り扱いに係る商品などの宣伝効果を高めるといった方法が普通に採られている取引社会の実情よりすれば、一段目中央の2つの黒塗りの縦長平行四辺形は、「S」の欧文字を図案化したものと容易に理解し得るものである。

してみれば、一段目は図案化された「OHSHO」の欧文字を書したものと認められ、その構成文字に相応して「オーショー」の称呼を生ずる。つぎに、三段目の文字部分について検討するに、「餃子の」の文字部分は、「王将」の文字部分より小さく表示されているばかりでなく、「餃子の」の文字は、指定商品との関係よりすれば、「餃子」「餃子の皮」を表したものと認識され、自他商品識別力を有さないか極めて弱い部分といえるから、「王将」の文字部分は、独立して自他商品識別機能を果たし得るものというべきである。

そうとすれば、本願商標は、「王将」の文字部分に相応して「オーショー」の称呼をも生ずるというべきである。

したがって、本願商標は、一段目、三段目の文字部分より、「オーショー」の称呼が生ずる。

他方、引用商標は、別紙のとおり、将棋の駒の図形内に「王将」の文字を顕著に表してなるものであるから、これより「オーショー」の称呼を生ずる。

そうとすれば、本願商標と引用商標とは、「オーショー」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といわなければならない。

つぎに、観念について検討するに、本願商標中の「OHSHO」、「王将」、の文字及び引用商標中の「王将」の文字は、「主将にあたる将棋の駒」を指称する語として広く一般に知られていることから、これらの文字からは、「主将にあたる将棋の駒」の観念を生ずる。

4. むすび

してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において差異が認められるとしても、「主将にあたる将棋の駒」の観念を共通にし、称呼が類似する類似の商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定の理由は正当なものであり、取り消すべき理由がない。

よって、結論のとおり審決する。

平成9年10月17日

審判長 特許庁審判官

特許庁審判官

特許庁審判官

別紙

<省略>

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